海外で働きたいと思ったときに、一番気になるのはやはりお給料ですよね。
私は、台湾のコンサルティング会社に現地採用社員として転職しました。日本人のオーナーが台湾で立ち上げた会社で、従業員は約15人です。
日本人顧客をメインとした営業職として勤務し約5年、役職は特にないのですが、状況に応じて台湾人スタッフをとりまとめる必要もあり、マネジメントも一部兼ねたポジションです。
そんな私のお給料を例に、台湾の給料事情を紹介します。
1台湾元=約4円</9>
台湾の日系企業で働く私の基本給は約19万2千円
給料は、日本で働いていたときと同じように月給制です。月初に、会社が指定した銀行口座に振り込まれます。
基本給は48,000台湾元(約192,000円)、ここから労工保険と健康保険の費用が天引きされて残った分が手取りです。労工保険と健康保険はいずれも基本給料に基づき算出されます。
なお、売上を自分で獲得すると追加報酬があり、皆勤なら1,000台湾元(約4,000円)が支給されます。
外国人雇用には最低給与が定められている
台湾では、外国人雇用における最低基本給与の規定があります。その額47,941台湾元(約191,000円)です。これ以下の月給の場合、就労ビザが下りない可能性があります。
勤務先を決める際、これを下回る月給を提示する会社は要注意です。法律で定められている最低基本給を守っているかどうか、しっかりと確認しましょう。
台湾の日系企業での住宅手当など福利厚生は?
住宅手当と通勤手当はなし
会社からの住宅手当はなく、会社の寮もないので、自分で部屋を探して自分の給料から毎月家賃を支払っています。
通勤交通費についてもサポートはありません。でも、台北市内であればメトロやバスがあちこちを走っており運賃も安いので、大きな負担にはならず、給料から捻出することができます。
業務上の交通費は支給
仕事でクライアントへ訪問する交通費などは立て替えて、領収書と一緒に会社へ請求します。これは日本と同じですね。
領収書が必要なのでタクシーを使います。でも日本と違い、領収書がほしいと言わないともらえないので注意してください。また、金額が記入されていない状態で渡されるケースが多いので、料金を確認して自分で書き込みます。
台湾のタクシードライバーはおしゃべりが好きな方が多いので、おしゃべりに夢中になってついつい領収書のことを忘れがち。忘れないようにしてください!
帰国費用も自腹
日本への一時帰国の費用もお給料から捻出します。とは言っても、近く、便も多く、LCCもあります。タイミングを上手く調整できれば、費用を抑えることは可能です。
しかし、私の勤務先ではマンパワーの問題があり、加えて台湾は日本ほど祝日や連休が多くないため、まとまった休暇を取得しづらいのが現状です。
となると、大型連休の旧正月のタイミングしか帰省する機会がなく、帰省費用が結構な負担となるのが悩みのタネです。
費用サポートの有無を就活時に確認
旧正月は、台湾人にとっても年に1回の大型連休です。海外旅行の計画を立てる人も多く、旅行先として一番人気なのは日本です。そのため、この時期の日本渡航費用は相当高いと覚悟してください。
中には、日本の祝日に合わせたシフトで仕事を回し、帰国費用を一部支援してくれる企業もあるかもしれません。就活の際、そういった点も希望する条件リストに加えておくといいと思います。
台湾の日系企業での残業手当は?
台湾では労働者の権利に対する意識が非常に高く、法律でも残業代や休日出勤に対する企業への支払い義務が規定されています。
給料未払いや、残業代・休日出勤手当未払いに対する抗議運動が起きるのはよくあることです。特に、残業や休日出勤が多くなりがちなサービス業界は非常に敏感です。
しかし、実際には会社によって対応がそれぞれで、私の会社では支給されません。むしろ、残業や休日出勤をしないよう推奨されています。
台湾の日系企業でもらえるボーナスは?
台湾では、ボーナスは一般的に旧正月(1月末~2月頭頃)前に支払われます。月給の1カ月分程度が一般的で、大手企業だとこれを上回るところもあります。
旧正月前になると必ずニュースになるのが、このボーナスの話題。月給3カ月分相当以上と大盤振る舞いの企業もあり、旧正月後の転職活動も活発になります。
また、この旧正月前のボーナス支給のタイミングで行われる忘年会「尾牙(ウェイヤー)」も忘れてはいけません。
企業によっては、忘年会で行われるゲームやくじ引きの賞品を豪華にして、これまた大盤振る舞いするところもあります。これもボーナスの話題と同じように、毎年ニュースになります。
私の勤務先では基本的にボーナスなし
私の会社ではインセンティブがあり、雇用契約で「業績によりボーナス支給」なので基本的にボーナスはありません。
代わりに、ニュースで取り上げられるような豪華賞品のある派手な忘年会ではないものの、従業員全員でゆっくりと食事会を楽しみます。
台湾独特のボーナス「三節奨金」
通常のボーナスのほかに、台湾独特の風習で「三節奨金」というものがあり、端午節、中秋節に2,000~3,000台湾元(約8,000〜12,000円)程度が支給されます。
赤い封筒「紅包(ホンバオ)」に入れられ、社長から従業員一人ひとりに手渡しし、日頃の労をねぎらう習慣です。
額は少ないですが、金文字や花の絵柄があしらわれた真っ赤な封筒なので、子どもの頃にワクワクしたお年玉を思い出し、なんだか温かい気持ちになります。
台湾での税金と納税額
台湾では年に1回、毎年5月が納税期です。1月1日~12月31日までの前年度の総所得に応じて納税額が確定し、その額を納めます。会社が発行した源泉徴収証明書を総所得証明として納税額を算出します。
私の場合はだいたい毎年15,000台湾元(約60,000円)の納税額です。インセンティブがあった場合は総収入も増えるので、納税額が跳ね上がってビックリしたこともありました。
会社によっては納税を代行してくれることもありますが、私の勤務先にはそのシステムはないので、自分で国税局に行って納付しています。
充実のサービスで安心!外国人向け納税窓口
1年に1回のことなので毎回なんらかの疑問が出てきます。でも、大丈夫。台湾の国税局には外国人向けの問合せ窓口がちゃんと設けられているんですよ。国税局の窓口に直接訪問または電話をすると、親切に教えてくれます。
ウェブサイトにも「よくある質問」が掲載されているほか、税金に関する外国人向けのハンドブックも配布されています(日本語版もある!)。中国語に自信がない場合には、英語や日本語が分かる職員が対応してくれることもあります。
私はスケジュールが合わず窓口には行けなかったのですが、なんと質問対応の事前予約システムまで用意されています。事前に質問希望時間候補をFAX(なぜか事前予約手段はFAXのみでした)で送るだけ!なんとも至れり尽くせりで、非常に助かります。
台湾生活は日本と比べると圧倒的に貯金がしやすい
私の場合は住宅費や交通費など自分負担が多く、豪遊生活とはいえません。それでも、日本で働いていた頃と比較すると固定費が抑えられるので、その分、少しは貯金に回すことができます。
主な固定費を比較してみました。
家賃
一人部屋の平均家賃は台北近辺で10,000台湾元(約40,000円)程度です。私の場合は1年更新です。更新時に必ず更新料がアップするわけではなく、双方問題なければそのままの条件で更新します。
台湾でも部屋を借りる際に日本同様、保証金が必要ですが、備品破損などしていなければ退去時に全額返金されるのが一般的です。
家具や家電を買わなくていい
台湾では家具・家電備え付け物件が多いです。
私もTV、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ベッドなどを台湾で購入する必要はなく、これだけでも移住費用が抑えられて助かりました。それに、備え付けのTVは受信料も取られず見放題です。
水道光熱費
電気代のみ自分で払い、ガス代も水道代も家賃に含まれています。ただ、日本よりも湿度が高いので、エアコンの電気代には注意が必要です。
私は日中会社にいるので、家で電気を使うのは夜間や週末のみ。電気代は日本と同じか、若干安いこともあると思います。
通信費
携帯電話のネット契約をせずに、通話のみにしています。必要になったらコンビニでSIMカードへ通話料をチャージ、1回あたり300台湾元(約1,200円)。これで1カ月は乗り切れるので、日本での通信費に比べたらずっと安上がりです。
公共スペースのFreeWi-Fiが充実しているので、ネット通話にすれば通話料もほぼ発生しないです。
食費
お弁当を1つ50台湾元(約200円)で販売するお店もあるくらいで、日本に比べると食費も抑えられます。
頻繁に旅行に行ったり、娯楽費が膨らんだりしなければ、貯金がしやすい環境だと思います。
台湾で就職したら給料額を聞いてくる台湾人同僚に注意!
台湾人は、お互いの給料明細の見せ合いっこを普通にします。ただ、外国人である日本人の私たちは、給料額を聞かれても雰囲気に乗って教えてはいけません。外国人なので最低給与が守られ、当然台湾の方よりは高いお給料をもらっているからです。
それを知られれば「なぜ?」という疑問や嫉妬を生み、はたまた自分の方がパフォーマンスが良いから給料を上げてくれと、台湾人スタッフから上司への交渉に発展する可能性もあります。この点についてはくれぐれも注意が必要です。
台湾人の給料水準は何年も前から大きく上がっておらず、カツカツの生活をしている人も多いのです。配慮と注意をしましょう!
まとめ〜自分にとって必要な金額をイメージしておく
楽しく、ストレスなく海外生活を送るためにも、給料は納得のいく額を確保したいところ。できれば、日本に帰省する費用までカバーできる水準だといいですよね。
働き、暮らしていくために必要な生活費や税金は場所や状況によって変わるので、体験者の話なども参考にしてみるといいと思います。現地で働く日本人の暮らし方を知り、自分がどんな生活を送りたいのかをイメージしてみると、具体的な希望金額が見えてくるはずですよ。